日本化学会誌(化学と工業化学)
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長鎖アルキルアミンおよびアルキルアンモニウム塩による塩酸溶液からのジルコニウム(IV)の抽出
渡辺 泰佐藤 太一
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1979 年 1979 巻 12 号 p. 1674-1680

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抄録

ベンゼンで希釈したトリオクチルアミン(R3N,TOA)およびトリカプリルメチルアンモニウム,クロリ雷(R3R,NCl,Aliquat-33fi)による塩酸溶液からのジルコニウム(IV)の抽出が行なわれた。
両抽出系に関して,TOAよりもAliquat-33Gの方がジルコニウム(IY)の抽出効果は大であるが,分配係数は水相の塩酸初濃度6.Omol/1以上で塩酸濃度の増加にともない急激に増加することがわかった。TOAおよびAliquat-336による有機抽出物の化学量論的組成はそれぞれ(R3NH)2ZrCl,および:(R3RN)2ZrCl6であることが見いだされた。この関係は溶媒濃度に対する分配係数の依存性によって支持された。したがってTOAおよびAliquat-336による塩酸溶液からのジレウム(y)の抽出は,それぞれつぎの平衡反応により行なわれると推論された。すなわち
ZτCl(oq)2R3NHCl(R3NH)2ZrCIs(。rg)
および
Zrq62-(aq)2R3R'NCl(rg)0(RsR'N)2ZrCl6(r)十2C
これらの結果はまた有機相の赤外吸収スペクトルおよび高分解能核磁気共鳴スペクトルの検討からも確かめられた。
さらにAliquat-336による抽出におよぼす希釈剤の効果が調べられた。その結果,抽出は1,2-ジクロロエタン希釈剤で増大され,四塩化炭素およびキシレン希釈剤では減少されることが明らかとなった。

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