日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
銅(II)サリチル酸錯体の熱的挙動
吉村 芳武沖 久也土屋 亮吉
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1979 巻 (1979) 4 号 p. 506-510

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抄録

サリチル酸銅(II)錯体の熱分解において,井上らは淡青色単量体Cu(Hsa1),・4H,O〔1〕の熱分解により,単量体Cu(Hsa1)a〔5〕および二塁体Cu2(Hsa1)4〔6〕の無水和物を合成している(3)。本研究では井上らが合成した〔5〕および〔6〕の生成条件をさらに定量的に検討し,その後の熱分解過程を調べるとともに,既報(4)で水溶液から得た他のサリチル酸銅(豆)錯体,すなわち〔2〕,〔3〕および〔4〕について熱分解過程を追跡し,生成物を赤外吸収スペクトル,拡散反射スペクトル,磁化率およびX線回折パターンより同定した。
単量体無水物〔5〕は〔1〕の昇温速度2℃・min-1以上,二量体〔6〕は0・80C・min-1以下の加熱により得られた。前者は単なる脱水であり,後者については,気相一固相反応が関与していることを示唆する結果を得た。また〔5〕および〔6〕からそれぞれサリチル酸が1/3mo1離脱した〔7〕と〔9〕は組成は同じであるが,別種の単量体であり,さらにそれぞれ1/3mo1ずつサリチル酸が離脱した〔8〕および〔10〕は同じ単量体であった。水溶液中で得た二量体〔2〕と〔1〕の熱分解で得た〔6〕は一致した。また同じ組成で異種の〔3〕および〔4〕の熱分解で得た無水和物〔11〕および〔12〕もまた異なる錯体であった。

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© The Chemical Society of Japan
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