1979 巻 (1979) 7 号 p. 861-868
N2流通下でTiCl3のAl還元により窒化チタン(TiN)粉末の合成過程を熱重量分析,X線回折,EPMA-SEMなどにより調べ,その反応機構を検討した。TiCl3のAlによる還元反応は,TiCl3の不均化反応に優先して約350℃ から開始しTiCl2を経て,約500℃ 以上で還元Tiを生成する。この温度で還元Tiはただちに競争反応でN2あるいは残存するAlと反応し,TiNとAlTiを生成する。TiCl3-Al系でもAlTiを生成するが,AlTiはTiCl2との反応により700℃ 以上でTi2Alに変化する。このことから,一部のTiCl2はAlTi中のAlにより還元され,Tiを生成することが明らかになった。AlTiとTiCl2の混合物はN2中,500℃ で反応しTiNを生成する。X線回折によるTiNの格子ひずみの測定結果から,AlTiとTiCl2の反応により生成するTiは構造不整を多く有し,N2に対し反応活性であることが示唆された。以上の結果から,TiNはTiCl3のAl還元により生成するTi,およびAlTiとTiCl2により生成するTiの窒化反応によって約500℃ から生成することが明らかになった。TiNは700℃ 以上で単相で得られ,TiNの結晶子径および生成量は反応温度に依存し,温度上昇にしたがい増大した。1000℃,2時間の生成物は化学分析の結果TiN0.90で,格子定数はa0=4.234Aであった。