日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
銀ヒドロゾルの光化学的生成反応
有沢 実
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1980 巻 (1980) 1 号 p. 8-15

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抄録

硝酸銀と種々の物質との混合溶液中で光化学的に銀ゾルが生成される反応を,吸収スペクトル,電子顕微鏡および電子回折を用いて調べた。ゼラチンと硝酸銀との混合溶液中では,微量の塩化物イオンの存在の下で起きる反応のほかに,塩化物イオンを必要としない反応のあることが認められた。ゼラチン以外では,アルギン酸ナトリウム,カルボキシメチルセルロ一スのナトリウム塩,ポリアクリル酸ナトリウムなどのカルボキシル基を含む水溶性高分子と硝酸銀との混合溶液中で,塩化物イオンを添加しなくても光化学的に銀ゾルが生成されたのに対レて,デンプンや硫酸ドデシルナトリウムなどのカルボキシル基を含まない物質を用いた場合には塩化物イオンの添加によってのみその反応が見られた。ゼラチンその他のカルボキシル基を含む水溶性高分子の場合に見られる反応は,赤外吸収スペクトル,粘度および光散乱の測定結果から,カルボン酸銀原子団の集合体の光分解による反応であることが考えられた。そして光化学的に銀ゾルが生成されるための条件として,感光性の銀塩の集合体とコロイドを安定化する保護物質とがともに必要であることが考えられた。

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© The Chemical Society of Japan
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