日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
硫化鉛赤外線センサーの雑音特性
及川 充楢岡 清威
著者情報
ジャーナル フリー

1980 巻 (1980) 10 号 p. 1633-1640

詳細
PDFをダウンロード (1826K) 発行機関連絡先
抄録

PbS,InSb,HgCdTeなど赤外線センサーの雑音に対する電極の接触状態,ならびに素子を構成する結晶の状態の影響を調べる目的をもって,試料がつくりやすく,室温での測定も可能であり,かつ微結晶界面を多く含むPbSを例として取り上げ実験を行なった。灘定は化学的沈積法によるPbS膜を用い,選択周波数帯域幅5Hzのスペクトラムアナライザーによって,試料の雑音一周波数スペクトルを求めた。PbSのような薄膜素子における電流雑音では,1/fならびにG-R雑音が支配的であるが,雑音の低周波成分にはPbS膜と電極との接触性が大きく影響している。金,透明酸化スズ,コロイド状黒鉛などの化学的に安定な電極では接触雑音成分である1/f雑音が少なく,G-R雑音によって支配される雑音スペクトラムの屈折する周波数は素子の応答時定数に依存する。
一方,A1,In,Ag,Cuなど酸化あるいは硫化されやすい金属の蒸着電極では,PbSと金属との間に金属の酸化あるいは硫化層を生じ,接触雑音が支配的になる。またPbS膜を500℃近くの温度で酸化熱処理すると雑音が高くなるが,これはPbS微結晶膜の結晶粒界面におけるPbO-PbSのP-nジャンクションのほかに4PbO・PbSO,のような高抵抗介入物が生成されるためであることを示した。

著者関連情報
© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top