ポリ(オキシエチレソ)基を親水基とする非イオン界面活性剤(C12H25O(CH2CH2O)9.8H)水溶液が示す曇点現象にともなう溶液物性の温度依存性について,Prigogine,PattersonおよびFloryらによるポリマー溶液に対する自由体積論の類推により,主として光散乱法による検討を行なった。その結果,溶液の第ニビリアル係数は臨界点付近では負であるが,低温では正の値であり,その中間に第ニビリアル係数が0となる温度が存在することが明らかとなった。ポリマー溶液論によるとこの温度はθμであり,この温度ではミセルーミセル間,溶媒一溶媒間およびミセルー溶媒間相互作用が等しくなっているものと考えることができる。さらに,界面活性剤水溶液を正則溶液であると仮定して,混合熱より見積ったX1の温度依存性から求まるθμと,第ニビリアル係数の温度依存性より求まるLCSTに関するθιとがほぼ一致することが明らかとなった。また(LCST)付近での混合熱は発熱である。これらの結果は,ポリマー溶液におけるLCSTおよびUCST現象を統一的に説明しているPrigogine,Pat-tersonおよびFLORYらによる熱力学的自由体積論を,非イオン界面活性剤水溶液に適用できる可能性を示唆しており,これらのことから非イオン界面活性剤ミセルはポリマー的挙動をしているものと考えることができる。