1981 巻 (1981) 1 号 p. 13-18
イオン交換樹脂のもつ分離,濃縮剤としてのすぐれた特性と電熱加熱式原子吸光分析法の特徴を生かし,樹脂に吸着した金属イオンを直接原子化,定量する方法を検討した。種々のイオン交換樹脂の灰化条件を検討した結果,橋かけ度の低い,球状で一定の大きさのポリスチレンスルホン酸型の強酸性陽イオン交換樹脂(IR-120B)に銅を吸着させ,その一粒(約0.6mg)を樹脂粒子の固定剤として黒鉛炉中に注入した15μlのポリビニルアルコールの希薄溶液上に置き,灰化最高温度930℃,30秒,原子化最高温度2470℃,6秒で直接灰化および原子化し,原子吸光分析法で測定する方法を開発した。化学的予備濃縮,樹脂の灰化によるバックグラウンド補正,導入試料の秤量などがいずれも不必要であり,ppbレベル以下の銅の定量が標準偏差率4~7%で簡単に行なえた。