1981 巻 (1981) 2 号 p. 270-275
単一成分系の酸性アミノ酸熔液(0.25~5.0mol/m3)をDDS-酢酸セルロース膜を用いて容量が200cm3の回分式セルで.1.96Mpa・G,363Kの操作条件下で逆浸透分離し,150cm3の透過液を15のフラクションにわけて採取した。その結果,透過液のpHが供給液のそれにくらべてかなり高くなり,双性イオン構造をもつ酸性アミノ酸から生じる陽イオン(水素イオン)も膜に吸着することがわかった。そこで,水分子が膜内で一部解離することを考慮した水素イオンの吸着モデルを提案し,そして吸着量を見積る式を誘導して水素イオンの吸着が平衡に達するようすを,透過液量を関数として図示した。平衡吸着量と供給水素イオン濃度との関係(吸着等温線)は,おおむねLangmuir型で表わされた。水素イオンの吸着量が急速に平衡吸着量に達する場合,酸性アミノ酸は膜の解離基との静電反発作用を水素イオンの吸着による膜の非荷電化によって弱められ,その結果,透過が進むにつれてその阻止率は減少し,一定値に向かった。一方,平衡吸着量に達するのが遅い場合,吸着による膜の荷電状態の変化があまり大きくないので,阻止率はほぼ一定であった。