1981 巻 (1981) 4 号 p. 550-555
ポリ(テレフタル酸エチレン)溶融急冷物の熱処理による構造変化を主として赤外吸収スペクトルから得られる構造的特徴から検討した。熱処理物に対して得られた構造的特徴は,著者らがすでに主張していた溶融急冷物の構造から熱処理温度に応じて固体一固体転移によって生じた一相的構造として矛盾なく説明できた。すなわち,分子鎖は折りたたまれているが結晶化中途の段階に凍結されている準安定な溶融急冷物の構造が200℃以下の低温では鎖の局所形態変化によって秩序化し,200℃以上の高温では局所形態変化とともに鎖の折りたたみ周期を変えるような大きな運動をともなって秩序化しより完全な結晶になる。このような解釈に対し,溶融急冷物の構造をランダムコイル凝集体のようなものと考え,それから熱処理物の構造が生じたとした場合,実験的に得られた構造の特徴をまったく説明できなかった。