日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
メタノールからの炭化水素合成における生成物分布の制御
藤元 薫鹿田 勉冨永 博夫
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1982 巻 (1982) 2 号 p. 229-235

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抄録

メタノールを炭化水素に変換する反応において市販のゼオライト触媒の選択性の改善を試みた。H-13YあるいはH-モルデナイト上でのメタノールの反応モデルの検討の結果,これらのゼオライトの特性をH-ZSM-5のそれと比較して以下の推定をした。
(1)ゼオライト上の酸点濃度が過大である。
(2)ゼオライト上の吸着炭化水素種の不飽和度が高い。
(3)以上の理由からC3 以上の吸着種が脱離することなくすみやかに重合してコークを与え,そのさい生成する活性な水素によりC1 ,C2 の吸着種が水素化され,ガス状生成物となる。
硫化処理ニッケルを担持したゼオライトを用いてメタノールの反応を行なった場合,窒素雰囲気下で反応を行なうと無担持のゼオライトを用いた場合と本質的な変化は認められなかった。しかし水素加圧下で実施すると大幅な変化が認められた。ゼオライトがH-ZSM-5である場合には活性に変化はなく,メタンの選択率が約90%と100倍近く上昇した。一方,ゼオライトがH-モルデナイトあるいはH-13Yである場合には,まず活性低下の速さが1/10あるいはそれ以下に低下し,生成炭化水素あたりのコーク析出量も約1/10に低下した。生成物の分布はメタンの選択率が約40~50%とかなり高いが,C3~C6の脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素(ポリメチルベンゼン類)が10~20%(炭素基準)生成した。脂肪族炭化水素中にはオレフィンも多量に存在することから,吸着炭化水素が部分的に水素化され,触媒表面よりすみやかに脱離しているものと推定された。

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© The Chemical Society of Japan
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