日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
アンモニア緩衝液中におけるシュウ酸イオン,エチレンジアミンおよびアンモニアを配位子とするクロム(III)錯体の過酸化水素による酸化反応速度
大塚 和正
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1982 巻 (1982) 4 号 p. 600-607

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抄録

シュウ酸イオン,笛ヂレンジアミンおよびアンモニアを配位子とするクロム(III)錯体のアンモニア緩衝液中におけるH2O2による酸化反応を速度論的に扱った。H2O2の大過剰の存在下で酸化反応速度は,錯体濃度について擬1次速度式にしたがった。シュウ酸イオンを配位子とする錯体の酸化反応速度はクロム(III)およびH2O2のそれぞれの濃度について1次であった。吸光光度定量法で求めたクロム(III)錯体の消失速度とCrO42-の生成速度は化学量論的にかなりよく一致した。これらの事実に基づいてH2O2がクロム(III)に配位する過程が律速段階であると判断された。エチレンジアミンおよびアンモニアを配位子とする錯体の酸化反応速産はpH10以下におけるCr(en)33+の反応を除いてほとんどH2O2濃度に影響されなかった,エチレンジアミンを配位子とする錯体では,酸化反応速度と配位子が遊離する速度の一致から,その律速段階はクロム(III)錯体から配位子が遊離する過程であろうと推察された。クロム(III)の酸化をH2O2を用いて強アルカリ性水溶液中で行なったKnoblowitzらの報告とこれらの結果を比較して論じた。

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© The Chemical Society of Japan
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