1982 巻 (1982) 6 号 p. 997-1004
多成分,多相間の平衡計算の原理を簡単に説明し,この平衡計算をアルミナおよびボーキサイトの高温炭素還元反応に適用した。平衡計算の手順としては,(1)各相に含まれる成分化合物を仮定し,(2)このなかから,元素の種類の数だけ,独立成分として選ぶ。(3)他の成分は,独立成分の関数となる。各成分の生成自由エネルギー変化,各相内における活量係数を考えることによって,独立成分のモル数から従属成分のモル数が求まる。(4)閉鎖系においての物量バランスの式をつくる。(5)そして,Newton-Raphsonのくり返しの計算で成分の量を求める。
この方法をボーキサイト,アルミナの高温炭素還元に応用してつぎの結果が得られた。(1)2400Kまでの温度で純アルミナを炭素還元して,金属を得ることは困難である。(2)ボーキサイトを2400Kで還元して得られる合金中のAlは約60%で,回収率は56%に過ぎない。(3)アルミナに酸化鉄,酸化ケイ素を加えて還元すれば,Alの回収率が高くなる。この反応の熱収支から必要な炭素の燃焼量をも求めた。