1983 巻 (1983) 10 号 p. 1482-1487
コバルトカルボニルは,有機ハロゲン化物と一酸化炭素とアルコール類からエステルを合成する触媒であることが知られている。著者らはこの反応を種々の置換基を有する塩化メチル類のカルボニル化に応用したところ,塩化ベンジル,クロロアセトン,クロロ酢酸メチル,クロロアセトニトリルではほぼ選択的にエステルが合成されたものの,塩化アルキル,クロロヒドリン,クロロメチルエーテルではエステルがほとんど生成しなかった。
本反応は2,6-ルチジンを塩基として用いることによって定量的な取り扱いが可能であることが明らかとなったので,速度論的な研究を行ない,各有機塩化物のコバルト触媒への酸化的付加反応の速度定数およびアルキル型錯体への一酸化炭素挿入の速度定数などを求めた。その結果,各有機塩化物のカルボニル化における反応性の差異を置換基の電子論的な性質を用いて説明することができた。