1983 巻 (1983) 7 号 p. 992-998
アルカリ電池の正極板としての銀電極の容量増加を目的として,電解質としてのアルカリ溶液中に塩化マンガン(II)および酸化マンガン(IV)を添加したとき,銀電極の酸化.還元挙動におよぼす影響について検討し,つぎのような結果を得た。
1)充放電曲線から,塩化マンガン(II)および酸化マンガン(IV)の添加によって,銀電極の容量が顕著に増大することが認められた。
2)電流一電位曲線から,塩化マンガン(II)の添加によって,酸化第1・第2および還元第1.第2のすべてのピークが顕著に増大することが認められた。また,酸化マンガン(IV)の添加によっても,同様の傾向が認められた。3)もっとも良好な結果を示した塩化マンガン(II)1×10-3mol/l(4.7mol/l KOH)溶液中における極板について,電子顕徴鏡による電極表面状態の観察をしたところ,活物質の結晶徴細化作用による表面積の増大が認められた。また,同電極について発光分光分析の結果,マンガン(II)およびマンガンの各スペクトルが確認された。それゆえ,塩化マンガン(II)添加による電極の容量増加は,この結晶徴細化作用と関係があるものと考えられる。これは,マンガン(II)塩から形成されるイオン状粒子の充放電時における吸着と電析・溶解によるものと思われる。