1984 巻 (1984) 1 号 p. 22-31
ポリメチレン=ジシンナマート類は光照射(アセトニトリル中)によりトランスーシス光平衡がすみやかに達成されるが,3-メトキシ置換は分子内光環化を促進した。またメチレン鎖による両シソナモイル部位の分子配列効果はいずれの置換体においてもトリメチレソ鎖が最大であったが,3-メトキシ体においてはテトラー,ペンタメチレン鎖も大きな効果を示した。CNDO/S-CI法による励起電子構造計算結果は,最低励起一重項状態が3-メトキシ置換によりベンゼン環からビニレン部位の分子内電荷移動の寄与を大きくすることが示され,その置換基効果は最低励起一重項状態におけるビニレン炭素の不対電子密度とよい相関関係を示した。したがって3-メトキシ置換体はその置換基の摂動により,分子内エキシプレヅクス形成が容易になる電子構造をもつこと,およびポリメチレソ鎖の分子内配列効果との相乗的作用によってその光環化がいちじるしく促進されたものと考えられる。