日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
GeH5+の形と陽子親和力,ならびにその存在と消滅に関する理論
須藤 進生田 茂野村 興雄片桐 茂良
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1984 巻 (1984) 10 号 p. 1625-1636

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抄録

GeH5+はGeH3+とH2がゆるく結合した錯体とみなせる。分子の対称性はCsであって,Hartmannらの言うD3hではない。
GeH4の陽子親和力の値は7.12eVである。Lampeらが実験から推定した値が理論的に確認された。GeH4の陽子親和力の絶対値はSCF法による計算で十分なことがわかった。それに対する補正を行なっても,値が小さくなり無視できる。
GeH5+の陽子親和力が大きいにもかかわらず,GeH4中ではGeH5+が今まで見いだされなかった。GeH5+の寿命が短く,すぐにGeH3+とH2に解離してしまうためである。分解に要するエネルギー0.31eVは,GeH4の陽子付加のエネルギーによって与えられる。それが緩和過程でGeH3+とH2の結合へ分配されたときに解離する。この理論的説明はGeH4がH-を与えてGeH3+になるという考えを排除する。
計算はab initio LCAO-MO-SCF法で行なった。基底はダブルゼータに加えて,各殻に一つずつ広がったGauss型関数を入れた。さらに,分極関数としてGeにはf型,HにはP型を加えた。分極関数を入れた計算は今までなかったが,かなりの寄与をする。電子相関は直接CIで見積った。振動解析も行なった。さらに,フラグメント解析を行ない,結合の性質を明らかにした。

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© The Chemical Society of Japan
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