1984 巻 (1984) 11 号 p. 1731-1738
臭化ベンジルを反応基質とし,シアン化カリウム,酢酸カリウム,またはチオシアン酸カリウムを求核試薬とする置換反応は,非極性有機溶媒中の固-液不均-系においても,アルミナやシリカゲルのような適当な無機固体を共存させ,さらに超音波を照射すると,実用的な速きで進行する。トルエンを溶媒としシアン化カリウムとアルミナを用いた場合,この不均-系に璋量の水を加えると-層加速され,固-液相間移動触媒を用いる方法をしのぐほどになる。またこの場合,無水条件下でたんにふりまぜると,臭化ベンジルとトルエンの間でFriede1-Crafts型アルキル化反応が起こるのに対し,超音波を照射すると臭化ベンジルとシアン化物イオンの求核置換が起こるという音響化学的反応経路切替えが見いだされた。なお,Friedel-Crafts反応は,シアン化カリウムとアルミナをあらかじめ超音波照射するという前処理や,ニトロベンゼンのような極性化合物あるいは無機の酸素酸のアルカリ金属塩の添加によって,いちじるしく阻害された。これらの実験結果,および超音波照射した過マンガン酸カリウム結晶のX線やSEMによる研究結果から,臭化ベンジルの固-液不均-系求核置換が促進される原因を考察した。