日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
腫瘍造影剤としてのペルフルオロオクチルブロミド乳剤
津田 良夫上田 奉生田中 幹雄山内 紘一横山 和正
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1985 巻 (1985) 10 号 p. 1846-1850

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抄録

ペルフルオロオクチルブロミド(PFOB)は臭素原子を1個もつペルフルオロ化合物であり,X線遮蔽能をもつことから,造影剤としての応用が期待されている。Longらは,PFOB乳剤を担がん動物に投与し,腫瘍部位の造影に成功したと報告した。今回,著者らはAH130細胞とVX2 carcinomaの2種類の実験がんを用い,腫瘍造影剤としてのPFOB乳剤の可能性について検討した。
AH130細胞を大腿部筋肉内に移植したラットにPFOB乳剤を投与し,投与後24時間目にX線撮影したところ,腫瘍の明瞭な造影籐が観察された。また,VX2 carcinomaを肝に移植した家兎に25w/v%PFOB乳剤を10ml/kg投与し,CT scanを行なった。肝正常組織にくらべ,腫瘍周辺部が高いdensityとして造影された。PFOB含量を測定した結果,周辺部に高濃度のPFOBが検出された。電子顕微鏡による組織学的検討からも,腫瘍周辺部に多数のマクロファージが存在し,そのマクロファージの中にPFOB粒子と思われる穎粒が多数散見され,特徴的な腫瘍のCT像がPFOB粒子の集積によることが明らかにされた。腫瘍造影剤としてのPFOBの有用性が確められた。

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© The Chemical Society of Japan
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