日本化学会誌(化学と工業化学)
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ニッケル系二元複合酸化物薄膜電極上での酸素発生反応
田邉 博義福島 清太郎
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1985 年 1985 巻 12 号 p. 2219-2225

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抄録

ニッケル系二元複合酸化物薄膜の酸素発生反応について,5mol・dm-3KOH水溶液中24℃で検討した。
複合酸化物薄膜はグラッシーカーボン基板上に熱分解法およびマグネトロン型高周波スパッター法で作成した。熱分解法による電極バルクの構造は,単純に薄膜構成元素の酸化物を混合した構造ではなく,NiMoO4およびNiCo2O4薄膜を除きほとんどのものが複雑な構造を示した。これに対しスパヅター法による電極のそれは非結晶性で,Ni0.71Mo0.93O3.1なる組成からなっていた。
Ni/Mo陽イオン比1:1,電極焼成温度400℃の条件で作成したNiMoO4薄膜電極は熱分解法による電極中もっとも良好な酸素発生特性を示し,安定性および再現性ともに優れていたが,NiMoO4複合酸化物をターゲットに用いてスパッター法により作成した薄膜電極はさらに高い反応特性を示し,良好な界面構造を有していることが判明した。両作成法による電極特性のちがいはNi-Mo-Oの複合構造で構成される反応サイトの酸化状態に大きく依存し,そのサイトのより高い酸化状態の発現にMoイオンの酸化状態が重要な影響をおよぼしていることがXPSにより示唆された。
Ni-Mo複合酸化物薄膜電極上での酸素発生反応はターフェル勾配約42mV,反応次数1で進行した。

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