1985 巻 (1985) 7 号 p. 1379-1384
ジメチルグリオキシム(H2dmg)のコバルト(III)錯体の電解質錯体[Co(Hdmg)2B2]Xおよび非電解質錯体[CoX(Hdmg)2B]の熱分析を実施した。電解質錯体の場合,軸配位子である塩基Bと外圏陰イオンXとの置換反応に基づく吸熱効果がみられ,置換生成物として[CoX(Hdmg)2B]が生成する。この熱反応におよぼす塩基Bおよび外圏陰イオンXの影響を検討した。その結果,外圏陰イオンXが塩化物イオンの場合,置換反応温度は,塩基Bの電子供与性にしたがい変化することが認められた。
一方,[CoX(Hdmg)2B]および類似する鉄(II),ニッケル(II)の非電解質錯体の場合,置換反応に必要な外圏陰イオンをもたないため,吸熱効果が現われず発熱的に分解する。
これらの結果に基づいて,電解質の塩化物錯体[Co(Hdmg)2B2]Clに塩化アンモニウムを添加して熱分析を行なったところ,二つの吸熱効果が現われ,新たに第二段置換生成物として緑色化合物H[CoCl2(Hdmg)2]が得られた。