1985 巻 (1985) 8 号 p. 1585-1591
22種の新規クラウン化合物を合成し,それらの水溶液の界面化学的性質,相間移動触媒能,それらを担体とするアルカリ金属陽イオンのプロトンポンプによる能動液膜輸送および液-液抽出について検討した。
側鎖末端基としてCH3,OH,あるいはCH2COOHを有する水溶性化合物の曇り点および臨界ミセル濃度(CMC)の測定(表1)から以下のことが判明した。曇り点は側鎖中エーテル酸素数(n)の増加にともない規則的に上昇した。nの曇り点依存性から,1個の第三級ヒドロキシル基を有する14-クラウン-4の親水性を鎖状オキシエチレン3単位に相当すると考えた(図1)。曇り点およびCMCは側鎖末端基の親水性にともない,CH3<OH<CH2COOHの順に上昇した。
n=3~4および比較的疎水性な末端基をもつ化合物のFinkelstein反応における触媒効果は非常に高く,Nalを試薬として使用したさいジシクロヘキサノ-18-クラウン-6よりはるかに優れていた(表2)。
側鎖末端にカルボキシル基をもつ化合物を使用してのイオレ輸送および抽出において,担体の親油性の増加は効率の増大をもたらした。また,イオン選択性はnに顕著に依存すること,およびCPK分子モデルから見て,金属イオンは14-クラウン-4とオリゴ(オキシエチレン)側鎖のつくる擬似三次元空孔に取り込まれる形で錯形成すると考えられる。