1986 巻 (1986) 1 号 p. 49-54
ベンゼン環に置換基をもつアリルフェニルエーテル(C6H5OCH2CH=CH2)類のClaisen転位反応を行なったところ,その反応性の順位は,
o-COOH>o-OH>o-NHCOCH3>o-NH2>o-CH3O>o-COOCH3>ρ-OH>H>ρ-COOH
となり, o-位にプロトン性置換基をもつ場合がいちじるしく高い反応性を示し, その反応性は遷移状態における置換基とエーテル酸素間の分子内水素結合を形成するものほど高いと推察された。すなわち, 遷移状態において増大するエーテル酸素上の電子密度を低下させることがより大きな反応促進効果を示すと思われ, この効果は溶媒の酸触媒効果や分子間水素結合ではなく, 分子内水素結合によってのみ顕著に認められるものと判断された。