1986 巻 (1986) 3 号 p. 490-496
有機超伝導体BEDT-TTF塩について構造と伝導の関連について調べた。圧力印加を経験したβ-(BEDT-TTF)2I3塩は, 超伝導転移温度Tcが1.5→8Kまで上昇することが知られている。また常圧で不整合超格子q=(0.08, 0.27, 0.205)が200K以下で出現することも発見されている。圧力印加によって超格子出現が抑えられ, その結果Tcが上昇するという仮説をたて, 圧力印加を経験した試料についてX線で衛星反射強度を観灘することにより, 超格子出現温度を測定した。その結果, 圧力印加を経験しても超格子の挙動は変化しないという否定的データを得た。(BEDT-TTF)2IBr2塩は半導体的な電気伝導をもち, 活性化エネルギーが低温で増加する。この半導体相(BEDT-TTF)2IBr2塩では低温になるにつれて分子のご量体化が起こることを発見した。二量体化の進行が活性化エネルギーの増加を引き起こすと思われる。この塩では130K付近に, 別の構造変化があることも推測される。