1987 巻 (1987) 5 号 p. 823-826
CoII(dmgBF2)2(ビス(ジメチルグリオキシマト)コバルト(II)錯体,CoII(dmgH)2をBF2でキャプした錯体,図1)と通剰(モル比で約2~6)のP(n-C4H9)3(トリブチルホスフィン)を含む紫ッ色のメタノール溶液に,室温,アルゴン雰囲気下で,低圧水銀ランプを用いて光照射を行なった。その結果,溶液の色は青色に変化した。光照射後に得られたこの青色溶液の可視吸収スペクトルは,光照射,する前の紫色溶液を低温(-40℃ 以下)にしたときに得られる青色溶液の可視吸収スペクトルと一致しており,さらに,すでに知られているNa+[CoI(dmgH)2.P(n-C4H9)3]-の可視吸収スペクトルともほぼ一致していた。以上の結果から,光照射および冷却,いずれ場合にも,CoII(dmgBF2)2.P(n-C4H9)3CH30H(紫色)からH+[CoI(dmgBF2)2.P(n-C4H9)3]-(青色)が生.成する同じ反応が溶液中で起こっていると結論した。さらに,光照射にともなう紫色から青色への溶液の色変化は,ベンゼンあるいはジクロロメタンのような非プロトン性溶媒中では認められないことから,今回の紫色から青色へ変色する光化学反応には,メタノールが関与していることがわかった。