日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
界面活性環状配位子で修飾されたリボソームの銅(II)イオン取り込み機構の速度論的解析
佐久間 昭三光田 慶一田嶋 邦彦石津 和彦
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1988 巻 (1988) 4 号 p. 668-674

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抄録

界面活性を有する環状アザクラウンエ一テルでレシチンリポソーム膜を修飾し,均一外水相から銅ち(II)イオンが,二分子膜中に輸送される過程を光吸収スペクトルおよびESRスペクトル測定法で観測した。二分子膜中と均一水溶液中において,アザクラウンエーテル-銅(II)錯体の光吸収およびESRパラメーターは変化しない。ジグリシン,トリグリシンおよびテトラグリシン-銅(II)錯体を均一水相に添加すると,銅(II)イオンが二分子膜中のDD14N4に輸送された。このさいのDD14N4-銅(II)錯体の吸収スペクトルから取り込まれた銅(II)イオンの濃度を求めたところ,リボソーム膜中全配位子の約60%であった。この結果は外水層に接した二分子膜中の配位子が選択的に銅(II)イオンを捕捉することを示唆している。ESRスペクトルの時間変化の速度論的な解析によると銅(II)イオンの輸送される過程は速度定数の異なる三つの反応サイトがそれぞれ独立の並進一次反応で進行することが明らかになった。また,銅(II)イオンの輸送速度はポリグリシン-銅(II)錯体のグリシン鎖の増加につれてテトラグリシン>トリグリシン>ジグリシン-銅(II)錯体の順で大きくなる傾向が認められた。

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© The Chemical Society of Japan
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