日本化学会誌(化学と工業化学)
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酵素活性に対するゼオライトのカルシウムイオン捕捉特性の影響
向山 恒治鶴田 康生奥村 統山根 巌美
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1989 年 1989 巻 3 号 p. 628-633

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抄録
衣類用洗剤のカルシウムイオン捕捉ビルダーには, 従来のトリポリリン酸ナトリウム (STP) に代わって, 今日ではA型合成ゼオライトが用いられている。STPのような水溶性のキレートビルダーによるカルシウムイオン捕捉が液液間の均一反応であるのに対して, ゼオライトの場合は固液間の不均一反応である。
近年の洗剤には種々の酵素を配合しているが, 酵素の活性化にはカルシウムイオンが不可欠とされている。したがって, 酵素洗剤と併用したときには, カルシウムイオン捕捉機構の異なるSTPとゼオライトでは, 酵素の洗浄力向上作用に異なった影響があると考えられる。そこでゼオライトのカルシウムイオン捕捉特牲をSTPと比較しながら測定し, 酵素活性との関係を調べた。
ゼオライトのカルシウムイオン結合力はSTPよりもやや弱く, カルシウムイオンを捕捉する速さもSTPより遅かった。しかし, プロテアーゼやリパーゼと併用した場合には, STPは酵素の持つ洗浄力向上作用を阻害したのに対し, ゼオライトは酵素の活性には影響しなかった。酵素に対する両ビルダーの挙動の違いは, 上記のカルシウムイオン捕捉特性の差から考えて, STPが酵素の活性を発現させているカルシウムイオンを奪ってしまうのに対して, ゼオライトは, 洗浄力を低下させる水中のカルシウムイオンを捕捉するが, 酵素の三次元構造を維持しているカルシウムイオンには作用しないためであると考察した。
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