1989 巻 (1989) 7 号 p. 1086-1093
セメント用膨張性混和材として使われているアルミン酸硫酸カルシウム(Hauyne)の構成成分であるカルシウムをズトロンチウムやバリウムでの置換を試みた。そして,その性状や水湘挙動についても検討した。ストロンチウムによる置換では全域にHauyneと同型の構造を呈した。バリウムではHauyneの組成をCa,Al12O24(SO4)2とすると7.6molまで置換された。合成試料の格子定数は平均イオン半径に比例関係を示し,格子定数をY(Å),イオン半径をX(Å)とするとY=7.920+1.130Xの式で示された。そして,イオン半径が最大1.48Åまで同じ構造を呈した。
ストロンチウムによる合成試料は水和過程においてトリス(硫酸)塩水和物を生成する。その過程はストロンチウムの固溶率に比例して生成時間が遅れるが長期まで安定である。バリウムにより置換された試料はバリウムを含むアルミン酸硫酸塩系の水和物は見られずBaSO4を生じた。Hauyneと同型構澄を示した試料は凝結時間と圧縮強度に差異を示すがすべて水硬性を示した。膨張牲についてはストロンチウム固溶体は遅効性であり,バリウム固溶体は膨張性を示さなかった。