日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
β-ヒドロキシカルボニウムイオンの構造と安定性ピナコール転位反応中問体は存在するか?
中村 建介長村 吉洋
著者情報
ジャーナル フリー

1989 巻 (1989) 8 号 p. 1392-1399

詳細
PDFをダウンロード (1754K) 発行機関連絡先
抄録

ab initio分子軌道計算により,2-ヒドロキシエチルカチオン(+CH2CH20H)およびそのメチル置換体数種類について分子構造を求め,それらの安定性を比較した。このカチオン種はピナコール転位反応の中間体であると考えられているが,計算の結果カチオン中心が第憎級である場合には転位基が水素原子でもメチル基でも単分子的に転位が起きる。また第二級の場合でも転位基によらずほとんど無障壁で転位が起きることが計算の結果示された。カチオン中心が三級炭素原子である場合にはポテンシャルエネルギー曲面上の極小点としてβ-ヒドロキシカチオンぷ存在する可能性があるが,ピナコール転位反応の中間体として必ずしもβ-ヒドロキシカチォンが生成してから転位が起きるという必要性は塗いと考えられる。これらの結果は反応生成物の立体化学を予測する上で,考慮すべき反応機構について有用な示唆を与える。

著者関連情報
© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top