1993 巻 (1993) 2 号 p. 139-144
コンドロイチン-6-硫酸ナトリウム(Na2Chs)とシュウ酸ナトリウム(Na20x)とを混合した水溶液中では,コンドロイチン-6-硫酸アニオン(Chs2-)とシュウ酸イオン(Ox2-)とは静電反発により相互に排除しあう。この時のChs2-がOx2-を排除する体積をドナン平衡に基づく2相モデルによって見積もる方法を考案した。Chs2-糸まりが十分にひろがっている時にはOx2-は糸まりの内部へ侵入できるが,高分子鎖の近傍からは排除された。Na2Ox濃度が高くなると高分子糸まりが収縮するので,Ox2-が排除される体積と高分子糸まり自体の体積は同程度となり,さらにNa2Ox濃度が大になれば,高分子糸まりもさらに収縮してOx2-は高分子糸まりの近傍からも排除されることがわかった。このOx2-を排除する空間はChs2-の水和相を越えて広がっていた。Chs2-がOx2-を静電反発により排除するこの効果が,両者が固体表面(たとえばシュウ酸カルシウム)へ吸着する時の競争吸着の原因の一つであることを指摘した。