日本化学会誌(化学と工業化学)
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EXAFSによるランタノイド-クロラニル酸およびプロマニル酸錯体の局所構造の研究
須藤 進宮永 崇史吉成 徹大橋 稔
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1993 年 1993 巻 5 号 p. 451-458

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抄録

ランタノイド-クロラニル酸およびブロマエル酸錯体を合成した。生成物は多結晶粉末状で水および大部分の有機溶媒に溶けないため,単結晶の育成は困難であった。そこで,EXAFS分光法により錯体の局所構造を検討した。構造既知のランタノイド-テトラメチルヘプタンジオン錯体[Ln(thd)3]を合成し,EXAFS解析の標準化合物として用いた。単殻モデルを用いてLn(thd)3のEXAFSスペクトルの曲線のあてはめによりパラメーターを最適化した。Ln(thd),を標準とし,他の錯体についてもEXAFSスペクトルの曲線のあてはめを行い,配位数とランタノイドと配位酸素間距離[r(Ln(III)-O)]を決定した。配位数は熱分析(熱重量,示差熱分析)から見積られた値と良く一致した。r[Ln(III)-O]はLn(III)のイオン半径と直線関係があった。また,IRスペクトルから錯体中の水分子のふるまいを定性的に論じた。さらに,ブロマニル酸とランタノイド-プロマニル酸錯体ではBrのK吸取端によるEXAFSはいずれも同様であった。しかし,XANESには明確な相違がみられた。

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