日本化学会誌(化学と工業化学)
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ランタノイドトリイソプロポキシドを触媒とするMeerwein-Ponndorf-Verley還元とOppenauer酸化反応
岡野 多門松岡 正弘木下 聡之木地 実夫
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1993 年 1993 巻 5 号 p. 487-492

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抄録

金属ランタノイドと2-プロパノールから合成したトリアルコキシドがMeerwein-Ponndorf-Verley還元およびOppenauer酸化反応の触媒として有効なことを見いだした。Meerwein還元でランタノイド錯体は,従来用いられていたアルミニウムトリイソプロポキシドより高い触媒活性を示し,ケトン類は温和な条件下で相当するアルコールに高収率で変換できた。アルデヒドの選元は低温でも非常に速いが,アルコールの収率はケトンの場合ほど高くない。また1-フェニルエタノールのOppenauer酸化も温和な条件下で効率よく行うことができた。それぞれのLn(OPr1)8の触媒活性はいずれの反応においても,La<Nd<Gd=Er=Ybの順で高い。しかしカルボニル化合物の濃度が高い反応条件や高温下では,アルドール縮禽を併発し,生成する水のために触媒は失活する。この副反応を抑制するためには,トルエンなどの無極性溶媒で反応系を希釈し,低温で反応を行うことが有効であった。

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