1995 巻 (1995) 12 号 p. 948-953
環状共役系の熱力学的芳香族性を議論する際に有用なトポロジカル共鳴エネルギー(TRE)の理論を,これと同一の理論の枠内で反応論的芳香族性をも検討できるように拡張することを目的として,Httcke1近似下のプロパゲーター法を用いて検討した.ここで用いたHUcke1近似下のプロパゲーター法は,分子構造とそれに沿って伝播する種々の相互作用が系の電子物性に与える影響を,系統的かつ視覚的に検討する際に特に有用であることが知られている.三員環のHUcke1近似下のプロパゲーター法を組み立てる手順を詳細に検討した結果,TREを定義する際の参照系(TRS)を記述するプロパゲーターを得るには,プロパゲーターを構成する諸項から環状構造を反映した特定の項を取り去ればよいことを見いだし,この消去手順を多環系へ一般化した.こうして得られたTRSのプロパゲーターを,量子化学的反応性指数の定義に従って積分することで,TRSの化学反応性についての知見を得ることが可能になった.これによって,TREを用いた熱力学的芳香族性と同一の理論の枠内で,系の反応論的芳香族性を検討することが可能になった.