日本化学会誌
Print ISSN : 0369-4577
抗菌剤に用いられているチオスルファト銀錯体の構造解析
冨岡 敏一冨田 勝己西 野敦楠木 正巳
著者情報
ジャーナル フリー

1996 巻 (1996) 4 号 p. 411-415

詳細
PDFをダウンロード (1207K) 発行機関連絡先
抄録

シリカゲル担体にチオスルファト銀錯体を担持させた抗菌剤について,その有効成分の構造解析を行った。シリカゲルに担持させる直前工程のチオスルファト銀(I)酸塩水溶液から結晶を析出させ,その元素分析を行い,かつそれが単結晶であることを確認した。これを構造解析し,チオスルファト銀(1)酸塩単結晶は a=20.205A,b=11。267A,c=19.274A,β=108.49deg.の単斜晶系で,その構造はK10[Ag6(S2O3)8]と結論づけた。一方,抗菌剤の粉末X線回折を行い,出発原料がいずれの[S2O3/Ag]比の抗菌剤でも共通に,2θ が10° 前後の低角度側でJCPDSに記載されていないピークがあることを確認した。上記単結晶の構造解析結果の格子定数を基に,X線回折主要ピークを計算すると,この低角度側ピークを含め一致が認められた。これらのことから,得られた単結晶は抗菌剤有効成分の中で最も溶解度の低い成分であると考えられる。

著者関連情報
© The Chemical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top