1996 巻 (1996) 4 号 p. 411-415
シリカゲル担体にチオスルファト銀錯体を担持させた抗菌剤について,その有効成分の構造解析を行った。シリカゲルに担持させる直前工程のチオスルファト銀(I)酸塩水溶液から結晶を析出させ,その元素分析を行い,かつそれが単結晶であることを確認した。これを構造解析し,チオスルファト銀(1)酸塩単結晶は a=20.205A,b=11。267A,c=19.274A,β=108.49deg.の単斜晶系で,その構造はK10[Ag6(S2O3)8]と結論づけた。一方,抗菌剤の粉末X線回折を行い,出発原料がいずれの[S2O3/Ag]比の抗菌剤でも共通に,2θ が10° 前後の低角度側でJCPDSに記載されていないピークがあることを確認した。上記単結晶の構造解析結果の格子定数を基に,X線回折主要ピークを計算すると,この低角度側ピークを含め一致が認められた。これらのことから,得られた単結晶は抗菌剤有効成分の中で最も溶解度の低い成分であると考えられる。