1998 巻 (1998) 3 号 p. 174-180
5種類の酸化物 (SiO2, Al2O3, MgO, ZnO, CdO) について, その酸点上および塩基点上でのプロピレソオキシド (PO) のプロピオンアルデヒド (PA) , アセトン (AC) およびアリルアルコール (AA) への異性化機構および反応選択性の支配因子を半経験的分子軌道計算法により検討した. 計算により求めたPOの電子状態が触媒による反応選択性の違いを説明できることを必要条件として, 妥当な反応機構を考察した. さらに反応選択性の支配因子について検討した結果, PA選択性は触媒表面の形式電荷が1+の金属イオンの正味電荷に, AC選択性は形式電荷が1-の表面酸化物イオンの正味電荷に相関することを見いだした. しかし, AA選択性については, 正味電荷との間に相関性は見いだせなかった. 結論として, 触媒表面の酸性の尺度としてPAの選択性を, 塩基性の尺度としてACの選択性を用いることが可能であることを計算化学的に裏付けた. また以上の結果から, 触媒の種類を変えて行った半経験的分子軌道計算の結果と実験結果との比較から反応機構を推定する手法が有効であることも示唆された.