日本化学会誌(化学と工業化学)
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愛知県における海域および河川のトリハロメタンの濃度分布
石川 創
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1999 年 1999 巻 4 号 p. 267-273

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抄録

閉鎖性水域である愛知県の伊勢湾,衣浦湾,渥美湾と各湾へ流入する河川で1996年8月から1998年5月にかけてトリハロメタン(クロロホルム,プロモジクロロメタン,ジブロモクロロメタン,プロモホルム)の環境調査を行つた.表層水のクロロホルムは人為汚染の少ない沿岸から離れた地域や内陸山間部を除いて広い範囲で検出され,伊勢湾流入河川で最高14.46μg/L,伊勢湾で最高1.48μg/Lに達した.海域では汚染の著しい地点でより高濃度のクロロホルムが検出された.プロモホルムも汚染の進んだ地点を中心に海域の広い範囲で検出され,伊勢湾で最高2.51μg/L,衣浦湾で最高0.14μg/Lに達したが,河川から検出されることはまれだった.このことはプロモホルムが沿岸の海域で生成していることを予想させた.湾内奥部でトリハロメタンの鉛直濃度分布を測定したところ,クロロホルムは表層で濃度が高くなる傾向が見られたのに対し,プロモホルムは表層から水深6mまでほとんど濃度は同じだった.

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