認知神経科学
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シンポジウムⅡ-05
精神科領域におけるNIRS の臨床応用
西村 幸香
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2013 年 14 巻 3 号 p. 177-183

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抄録
精神疾患における客観的指標による診断は、適切な治療の選択のために重要であるが、現時点では確立していない。近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)による脳機能計測法は、自然な姿勢・環境で実施できるため、非侵襲的で簡便な精神疾患の臨床検査として、臨床応用可能性の高い測定法のひとつである。2009 年に厚生労働省の先進医療検査として承認された、「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」では、言語流暢性課題遂行中のNIRS 変化信号パターンの違いに注目し、うつ症状を呈する患者について、約7〜8割の精度で大うつ病性障害・双極性障害・統合失調症の操作的診断基準(DSM)と合致した結果を示すとされている。本稿では、脳画像研究の臨床応用を進める際のステップの1 つとして挙げられる先進医療制度と承認内容を紹介するとともに、東京都立松沢病院における取り組みの現状について報告する。現状では、先行研究で報告された精度(精神科医による臨床診断とNIRS 変化信号パターンによる分類の一致率)よりも低下する傾向であった。その理由として、研究と日常臨床における対象者の違いや併存疾患の存在、大うつ病性障害における状態像の反映、双極性障害における診断の確定の難しさや各エピソードの影響、統合失調症における臨床病期による波形パターンの違いが考えられた。
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