認知神経科学
Online ISSN : 1884-510X
Print ISSN : 1344-4298
ISSN-L : 1344-4298
教育講演
認知症のアセスメントにおける認知機能検査の意味と課題
河野 禎之
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 16 巻 3+4 号 p. 200-208

詳細
抄録

【要旨】認知症の中核となる認知機能障害を、認知機能検査により客観的に評価することの意義は大きい。特に、DSM-5にも示されているように、最近では複数の認知領域を客観的に評価することが強く求められている。これは、スクリーニング検査による診断補助のみではなく、認知機能をより詳細に多面的にアセスメントすることが求められているともいえる。たとえば、MMSEやHDS-Rによるカットオフ値は重要な指標となりうるが、各項目の反応や検査態度にも踏み込んで結果をみることにより、特に障害されている領域あるいは保たれている領域を考慮することができる。COGNISTATやWAISのように多面的かつ標準化された検査を用いれば、より客観的にそれらを把握することも可能となる。くわえて、こうした認知機能検査の結果はその後のケアにも有用な情報を多く含む。たとえば、遅延再生課題の再生が困難であっても再認が可能であれば、日常生活の問題でも適切な手がかりを利用することにより達成できるものがあることが予想される。したがって、結果の「得点」のみに着目することなく、ケアにつながる適切な情報として変換されることにより、認知症の本人にとっての認知機能検査の意味はより大きなものとなりうる。言い換えれば、認知機能検査を「どのように活かすか」について、医療側・ケア側で一定のコンセンサスを得ておくよう環境を整備することが強く望まれている。

著者関連情報
© 2015 認知神経科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top