2016 年 18 巻 1 号 p. 15-18
【要旨】意識の障害は、てんかん発作の中核症状であり、患者のADLを阻害する最も重要な問題である。最近、発作時SPECTやfMRIなどの手法を用い、てんかん発作における意識障害の発現に関わる神経基盤を解析することが可能となった。側頭葉てんかんにおいては、発作時SPECTの解析により複雑部分発作における意識障害の発生に、発作時の前頭葉頭頂葉皮質連合野の抑制が関与することが示されている。また、てんかん発作におけるいわゆる精神発作の中には、時間、空間、及び自己に関わる認識など、意識を構成する様々な高次認知機能の障害が見られるが、脳機能画像や頭蓋内電極留置下の脳電気刺激の解析などにより、これらの精神発作に関わる神経基盤に関し様々な報告がなされている。てんかん外科手術に際し行われる機能神経画像検査や頭蓋内脳波記録を駆使し、てんかんに関わる様々な兆候を詳細に検討することで、われわれにとって最も重要かつ本質的な高次認知機能である意識について、今後更に知見が深まってゆくことが期待される。