認知神経科学
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原著
読み書きの困難さを示す発達性協調運動障害児に対する漢字指導 : 聴覚法と指なぞり法の併用の有用性について
鈴木 浩太稲垣 真澄
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2018 年 20 巻 3+4 号 p. 165-171

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抄録

【要旨】本研究では、読み書きの困難さを主訴に受診した8歳10カ月男児をMovement Assessment Battery for Children-Second editionにより発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder : DCD)であると診断し、対象児の特性に合わせた漢字指導を実施した。対象児は、知的水準よりも、読み書きの学力が低く、読み書きの困難さがあることが示された。読み書きの困難さの背景に、運動の不器用さと視知覚能力の低下が想定された。そこで、書字表出を最小限にし、良好な認知機能で漢字形態の知覚を補うことを目的として、聴覚法(音声言語化して覚える方法)と指なぞり法(大きな文字を指でなぞる方法)を併用した。漢字指導は、9歳10カ月~10歳10カ月の期間に実施し、小学校3年生の配当漢字を用いた。その結果、対象児は、多数の漢字を習得し、DCD児に対する漢字指導において聴覚法と指なぞり法の併用が有効である可能性が示唆された。

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© 2018 認知神経科学会
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