認知神経科学
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シリーズ企画「脳と言語」Ⅰ
失語症臨床の基本的諸問題
本村 暁
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2021 年 22 巻 2 号 p. 68-77

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抄録

【要旨】 失語症の定義、失語症候群の意味、失語症分類について臨床医の観点から論じた。

失語症分類:症状を整理し、症例をグループ分けする方法であり、病変部位や閉塞血管との一定の対応関係がある。原発性進行性失語の分類は、病変の分布や分子病理との対応関係が明らかにされつつある。

失語症候群:4つの言語様式全般にわたる言語症候の組み合わせからなる症候群である。左大脳半球の病巣を示す。血管性失語と変性性失語の相違、言語野の回路網の最近の考え方について述べた。

失語症の定義:難問であり、万人が納得できるよう定義することは困難であるともいわれている。脳の個体差、病前の言語能力という多様性と、症候群(症候の組み合わせ)の定義であることに起因していると考えられる。

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