【要旨】 本研究では通常の学級に在籍する漢字書字に困難を示す小学校4年生(9歳)の男児を対象として、子どもの認知特性と書字エラーの特徴から支援方法を考案し、その効果を検証した。青木・勝二(2008)6)を参考に、子どもの書字エラーを分類し、全体的な形態イメージが既に保持されているが、細部に誤りがみられる漢字については「正字選択の確認課題」による指導を、それ以外の漢字には「組合せパズル課題」による指導を実施したところ、いずれも学習漢字の70%以上を書字できるようになった。さらに、子どもが自主的に学習できるように、それぞれの課題について自ら教材を作成して課題に取り組むような「自主的学習に向けた支援」を実施したところ、教材をあらかじめ用意しなくても、学習漢字の70%以上を書字できるようになった。このことから、自主的学習に向けた支援でも高い支援効果が得られることが示唆された。