認知神経科学
Online ISSN : 1884-510X
Print ISSN : 1344-4298
ISSN-L : 1344-4298
頭足類の巨大脳と行動が語るところ
比較神経解剖学は認知神経科学にどのように貢献するか
池田 譲
著者情報
キーワード: 頭足類, 行動, , 社会性
ジャーナル フリー

2008 年 10 巻 3-4 号 p. 261-266

詳細
抄録

【要旨】頭足類はイカ類・タコ類を擁する軟体動物門の一群であるが、カメラ眼という優れた感覚器を有し、かつ神経系は中枢化され無脊椎動物中最大サイズの脳を形成している。体重比に対する相対サイズでみれば、頭足類の脳は魚類・爬虫類を凌駕するレベルに発達した巨大脳である。このような知性基盤を反映し、頭足類には、発達した記憶・学習能、瞬時に醸し出される多彩なボディーパターンによるコミュニケーション、役割分担の機能性が示唆される群れ行動といった社会性など、行動として表出される多くの複雑な高次脳機能が認められる。本稿では、社会性との関連から頭足類の特異な行動と脳との関係について、社会性が高いと思われるジンドウイカ科のアオリイカを中心に、熱帯域に生息するその他の頭足類も含めた実験的な研究事例を概観し、今後の研究を展望した。

著者関連情報
© 認知神経科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top