人間ドック (Ningen Dock)
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原著
当センターにおける人間ドック子宮頸がんHPV検査導入の実情と検証
津田 好子市川 夕紀子秋山 けさ美荒井 麻衣近藤 晴義功刀 千恵美依田 芳起
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2010 年 25 巻 3 号 p. 530-536

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抄録

目的:人間ドック子宮頸がん検査の精度向上を目指して,2008年に従来の細胞診検査に加えて希望者にHPV検査を併用検査として導入した.過去5年間を含む当センター子宮頸がん検査の実情を検証した.
対象:2003年から2008年までの6年間に人間ドック受診時に,子宮頸がん検査を受診した延べ41,459人を対象とした.2008年の受診状況については細胞診検査受診者6,744人で,HPV検査の併用受診者1,908人を対象とした.
結果: 6年間でがん症例として返書確認ができているのは23例(発見率0.05%)であったが,他に人間ドック再受診時に5例のがん症例発見が確認された.ベセスダシステムへの移行とHPV検査の導入によって,2008年の細胞診要精検者77人中,がん発見6例(発見率0.09%)であった.HPV検査の併用受診者は,1,908人 (子宮頸がん受診者におけるHPV検査受診率28.3%)陽性者61例(陽性率3.2%)で20歳代のHPV検査の陽性率は11.1%であった.
結論:ベセスダシステムの改定によって,クラスⅡ ASC-US(意義不明異型扁平上皮)症例が精検対象に加えられ要精検率は,2008年1.14%と過去最高であった.HPV検査の導入を果たして,陽性者の扱いが今後加わることによって,更に要精検率は上昇すると思われる.
ベセスダシステムとHPV検査の導入によって,前がん病変を有するハイリスク受診者の設定や,将来的に子宮頸がん発見率の上昇につながる事が期待される.

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© 2010 公益社団法人 日本人間ドック学会
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