2011 年 26 巻 1 号 p. 87-93
目的:肺年齢は身長,性別,1秒量をもとに算出される呼吸機能の新しい指標である.肺年齢の主要な悪化要因は喫煙とされている.しかし,非喫煙者における肺年齢悪化に関わる生活習慣に関連する要因は十分解明されていない.
方法:東京慈恵会医科大学附属病院新橋健診センターで人間ドックを受診した呼吸器疾患のない非喫煙の男性1,291名(年齢49.9±11.1歳),女性1,689名(年齢50.4±11.8歳)を対象とした.受動喫煙の有無,肥満度(body mass index),20歳頃と人間ドック受診時の体重を比較したときの体重増加量,1週間のエタノール摂取量,身体活動時間,1週間で1時間以上の汗をかく運動の実施,1日1時間以上の歩行,早歩きの有無について,(肺年齢と暦年齢)差に対する影響を解析した.
成績:男女ともに20歳時と人間ドック受診時の体重を比較したときの体重増加が肺年齢を悪化させる要因であった.その他に,男性では週に1時間以上の汗をかくような運動をしていないことが,女性では1日1時間以上の歩行を行っていないことが肺年齢を悪化させる有意な要因であった.
結論:本研究で非喫煙者の肺年齢を悪化させる生活習慣要因は,体重増加とより少ない身体活動であることを示した.