2013 年 27 巻 5 号 p. 843-850
目的:人間ドック・健診受診者を対象とした禁煙治療の成績をまとめ,ニコチンパッチおよびバレニクリンそれぞれの成績,禁煙率に影響する因子および体重変化の検討を加えて報告する.
対象と方法:2006年2月以降聖隷予防検診センターで禁煙治療を施行した者はニコチンパッチ96名(男77名,女19名,平均50.9±13.5歳),バレニクリン77名(男67名,女10名,平均51.4±11.3歳)である.治療期間(12週間)終了後および1年後の禁煙継続の有無を検討した.また禁煙成績に影響を与える諸因子(性・年齢・TDS・喫煙本数・喫煙年数・ブリンクマン指数・初診時呼気CO濃度・禁煙治療期間・喫煙開始年齢・禁煙の自信・飲酒・ストレス・同居家族の喫煙・基礎疾患・精神疾患)の検討および禁煙成功の有無による体重の経過をまとめた.
成績:12週間の治療終了時点および1年後での禁煙の可否が確認できたものはニコチンパッチ治療群では,それぞれ65名および51名であった.禁煙成功者は12週後で35名(成功率は53.8%),1年後の禁煙成功者は18名(成功率35.3%)であった.バレニクリン治療群では,治療終了時点および1年後の禁煙の可否が確認できたものは,それぞれ68名および46名で,禁煙成功者は12週で52名(成功率76.5%),1年後で22名(成功率47.8%)であった.禁煙成功群は,非成功群と比べ男性の割合が高く,禁煙治療期間が長く,喫煙開始年齢が高かった.また禁煙中は体重増加が続くが,再喫煙になると体重は治療前に戻っていた.
結語:人間ドック・健診受診者を対象とした健診施設の禁煙外来の成功率は,他施設の報告と同様の結果であった.バレニクリン使用群の長期禁煙成功率は,48%と良好だった.