近年,バックパックの日常使用増加に伴い,運搬時の肩部負荷軽減が重要になっている.本研究は,歩行時のバックパック負荷を腰部に動的に分散する新しいランバーパッド(LP)を提案する.歩行時の胸郭―骨盤間の水平相対変位と骨盤の三軸運動を考慮した可動式LP,固定式LP,従来型フラット形状の3 背面の歩行時の接触荷重を比較して評価した.50 個の三軸触覚センサで被験者3 名の荷重(重量:6kg,歩行50 サイクル)を計測し,被験者毎に多重比較(Steel‒Dwass 法)した結果,LP 付きパネルはフラットパネルより肩部荷重が有意に小さく,可動式LP は固定式LP より歩行周期全体の荷重の四分位範囲が肩部,腰部共に小さかった.また可動式LP はフラットパネルよりバックパックが滑り落ちる方向の肩部剪断荷重が有意に小さかった.以上の結果は,腰部への安定的な分散により肩部負荷を軽減するバックパックの設計改善に活用できる.