忍者研究
Online ISSN : 2433-9008
Print ISSN : 2433-8990
研究ノート
忍びの家督相続の実態に関する研究
上田 哲也
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 2023 巻 6 号 p. 29-40

詳細
抄録
本稿は忍びの家督相続に関する研究の一事例として本多家を取り上げ、忍びの相続や供給源についての考察を行う事を目的とする。基礎史料として活用したのは、本多家に仕えた家臣の先祖書をまとめた『本多家岡崎藩分限帳』である。この分限帳を分析した結果、家督相続の開始から百年後には一般藩士同様に、忍びの家筋でも養子による相続が無ければ家の存続が不可能であった事が明らかになった。また、役替えの発生により、忍びから他の部署に配置転換されるケースが多かった事も判明し、忍びの職務を世襲し続けるのは難しかった事が明らかになった。  忍びの供給源に関する考察では、本多家に仕えた忍びの多くは、本多忠勝の出身地である三河国、本多家の転封先、旧領地から召し抱えられていた事が明らかになった。また、忍びの養子については、足軽や同心、同僚の子息から得るケースが多かった事が新たに判明した。
著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top