西日本皮膚科
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症例
血管芽細胞腫の1例
—特にその電顕像について—
桑原 宏始木村 晴世坂梨 洋河南 憲太郎
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1969 年 31 巻 5 号 p. 453-469

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抄録

15才男子の右足関節に発生した血管芽細胞腫の1例を報告,併せて文献的,電顕的に考察した。すなわち自験例は臨床的,組織学的に北村らの述べる狭義の血管芽細胞腫に一致し,その誘因として外傷が挙げられる。また自験例の電顕所見はphogocytic fibroblastの存在,外皮細胞からphagocytic fibroblastまでの移行細胞の存在などKaposi’s sarcomaと類似した点が多いが血管形成の初期から外皮細胞がみられ,この外皮細胞が内皮細胞やphagocytic fibroblastに移行するところが異なる。一方phagocytic fibroblastは直接間葉系多分化能細胞と思われる細胞からも形成され,しかも血管外皮細胞から形成されたphagocytic fibroblastと形態的機能的に区別できない。以上の所見から自験例は北村らの述べる狭義の血管芽細胞腫として1つのclinical entityを認め,本腫瘍が間葉系多分化能細胞から発生することを示しているものと考えた。

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© 1969 日本皮膚科学会西部支部
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