1970 年 32 巻 2 号 p. 145-153
種々の培地および剥離角層をもらい,グルコースとCandida albicansの発育の関係を追求した。その結果,Candida albicansの発育は,好気的または嫌気的のいずれの条件においても,グルコースの存在により著明に促進されることが確かめられた。しかしながら,とくに,剥離角層への接種を行なつた場合,実際の皮膚カンジダ症にみられる,菌糸型のCandida albicansは,嫌気的な条件においてのみみられ,この場合グルコースは,菌の増殖はたすけるが,菌糸型の発現(→寄生形態への転換)には,影響しなかつた。以上より,健康人の表皮に,塗布によりCandida albicansを接種,空気中およびCO2ガス中において皮疹の発現を検したが,この際,CO2ガス中のものにおいて,空気中におけるよりも強い病変の発現をみた。これらのことより,カンジダ症の初発に対し,嫌気的条件の必要なことを推察し,実際の寄生時においては,間擦部がその役割をはたすことを推察した。