1973 年 35 巻 1 号 p. 22-25
39才の母親と11才の長男にみられたkeratosis follicularis squamosa Dohiの母子例につき報告した。家族内発生は稀とされているが,本症の遺伝関係を明らかにする意味で,家族歴にかんする問診は重要であると考える。さらに母親の組織標本で深部毛包内腔に球菌様の塊を認めたが,本症の角化異常において,細菌が何らかのかたちで関与している可能性も否定できない。治療は母親にたいして0.1% vitamin A 酸軟膏にておこない,臨床上十分満足すべき結果をえた。